理央くん!大好き!かなさん!好き好き!

毎朝の

「理央くん、おはよ〜!」

「おはよ……秋。」


私の名前は白井秋。中学三年生!今日も元気に生きてます!

この美しい寝顔を見られて幸せでございます。


「眠い?」
「眠い……」
「どんまい!」


敬礼をつけて言うと理央くんは「なんのために聞いたんだよ」と言ってふぁーとあくびしながら起き上がった。


「ご飯は?」


「今日は元気つけてもらうために朝からハンバーグだよ〜!あ、こら!うわーって顔しない!」


「……まあいいよ。秋が作ったんなら。」


「素直に最初からそう言ってくださーい!」


毎朝の恒例といってもいいかもしれない!


私は毎朝ありえんだろ!って感じの朝食を作るんだ!


それで理央くんの驚き顔とかが見たいんだけど、やっぱりなんか朝はぼーっとしてることが多いかな。


昼にはもうちょいしゃべるんだけどね!



「美味しいじゃん?この前よりソース好きかも。」


「えっ?ほんと?!それ結構嬉しいかも、えへへっ!」


「笑い方気持ち悪いよ」


「だってー!嬉しいんだもん!理央くんから褒めてもらえるなんて!」


「いつもそんなに俺薄情な奴?」


「いえいえ!いつもお優しいですよ!」


「そりゃーよかった。」


この会話、今ので想像できないかもだけど、理央くんはもうすぐ死んじゃうんだ。あと、一年くらいで。


今二人とも高二だから高三でもう理央くんとはお別れになる。



「どした?暗い顔になってるよ。秋は笑わないとブスになるよ。」


「えっひどくない?えっひどくない?」


思わず二回言っちゃったけど??ひどくない???


「事実です。」


「じゃあいつも笑ってます!」


「そうして」


「はーい!あっ理央くん、もう家出よう!」


もう病院の時間だ!時間間違えちゃうとまた先生に怒られちゃうからね!


「はいよ。着替えるから。」


「イエッサー!!」


さっとリビングから出て保険証とタクシーの準備をする。


こう見えてマネージャーなんだよ?私!まあマネージャーというよりかは話し相手って感じかな。


この家の掃除をしたり洗濯とか料理とか、そういうのをやってるからもしかしたらメイドって表現の方がいいかもしれないなぁ。


メイド服は来たことないけど!


でも着てみたいかもなぁ!


「出よ。もういいよ。」


「相変わらずはっやいねぇ!私だったら20分はかかってるかも!」


「着替えるのに20分なら起きるの何分なの。」


「そうだなぁ、いつも二時間くらいは目覚まし鳴り続けてるかな!」


「……秋の部屋防音にしといてよかったよ。念のためにつけたものだったけど、結構役に立ったな。」


「念のためでも思ったんだね!」


「秋の場合はありえないことをするプロだからね。」


「ありがと!」


ちょっと褒められてるかビミョーだけどね!私のことを考えてくれたことが嬉しいよ!


「一応つきました。おはようございます。」


ピンポンの受話器?みたいなので声がした!


「ありゃ!かなさんもう来てるよ!理央くん急いで!」


振り向くと理央くんの姿がない。


ありゃ?どこいった?


「……あのさ、俺はもうとっくに乗ってるの。20秒くらい前から。」


「あらまー!すいませんでした!てへっ!」


車に乗ると『てへっ!』はやめなさいと説教を受けた。


そして病院にとうちゃーく!


理央くんは毎日病院通いで大変そうだから入院したら?と思ったんだけど提案してみても首を振るばかり。


まあ私としては嬉しいかもだけどねっ!最後の一年間一緒に過ごせるんだから!



「理央くん、なんかお疲れ?」


今は病室。ちょうど心臓の音を聞いているところだ。


ちなみに私は全力で目隠しをしている。


「あーまあ、こいつのせいで…」


「なるほど。というか秋ちゃん、そこまで目を隠す必要ある?」


「あります!私が理央くんの上半身を見る権利はない!というわけで早く済ましてください!榊先生!」


「権利なんか別にいいっていってるのに。」



「理央くん何言ってるの?理央くんにお近づきになりたい女子は山ほどいるの!なのに私が近づいてること自体みんなよく思ってないんだからね!」



「勝手にすれば良くない?別に秋嫌われてないじゃん」



「でも女の子たちはいい気しないの!」



「はい、秋ちゃん終わったよ。目開けてよし。」


目を閉じてていきなり開けるとくらっとするよね!一瞬視界が暗くなるこの瞬間がなんともいえねぇ!


「先生、理央くんは?大丈夫なの?心臓おかしくなかった?」



「大丈夫だよ。でも薬だけはちゃんと飲んでね。」


「はい」


「あっ理央くん!学校行こう!私先生に話だけ聞いてから行くから先行って!」



「なんでいつも一緒に行かないの?」



「理央くんに成績落としてもらいたくないからだよ!急いで!」


「……はいはい」


「ばいばーい!」


理央くんに手を振って先生の方へ向く。


「榊先生、ありがとうございました!では!今日も頑張ってくださいね!」


ドアを開けて病室に出ようとすると、手を掴まれた。


「ねぇ、なんで行く時間ずらすの?理央くんの言うとおり一緒に行けばいいでしょ?しかも数秒のお礼だけだよね?」


「はははっ気にしないでください!」


「気にするよ……」


「まあまあ!じゃあね、先生!」


「……言いなさい。」


手を離してくれない先生にまたまた〜!と誤魔化そうとするけれど、先生の目は真剣だ。


「なんでもないんですって!本当です。」


「うそつけ。……じゃあこれは何?これ、昨日はなかったよね。」


先生に指さされたところは右手の肘だった。


隠してあったはずだけどな?あれれ?


「こけました!盛大に!」


「じゃあこれは?」


今度は右足の膝小僧ら辺を指さされた。

あれれ?これも?


「先生、じゃあこの怪我なんだと思ってるの?」


「いじめ。」


あれれ


「そんなぁ!みんないい人たちばっかですよ!じゃあね、先生。心配してくれてありがと!」


強引だったかもしれないけど、先生の手が緩んだ隙にパッと手を解放する。


そのあとはタクシーに電話をかけて学校へと向かった。






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