禁忌は解禁された~銀二~
銀二が、ガンッとテーブルを殴る。

杉・武は特に何の表情も変えず、銀二を見据えていた。

銀二「姐さんと姫を、悪く言うのはやめてください。
二人は、私にとっての“生きがい”です。
二人がいなかったら、俺はとうに死んでいた」

武「わかってるよ。
お前も、神龍に来た時はぼろぼろだったからなぁー」



そう……あれは、25年前になる━━━━━

銀二は当時、14歳の中学生だった。
父子家庭だった、銀二。

銀二は、母親の顔を知らない。

父親曰く、母親は最低な人間ですぐに男を作り、都合が悪くなると父親の元に帰ってくる女だった。

父親が亡くなる一ヶ月前にも、突然現れたらしい。

しかし父親は、決して銀二を会わせなかった。
銀二も、会いたいと思ったことがない。


そして今回母親は、多額の借金を抱えて現れた。

当時、小さな焼肉店を経営していた父親。
しかし、借金返済には到底及ばず、貯金なども底をつき…………


父親は、自殺したのだ━━━━━━


それを見つけたのは、銀二だった。

そこで初めて、母親の借金のことを知った銀二。
ここ一ヶ月、ヤクザからの取り立ても凄かったことを知る。

銀二は、何も知らなかったのだ。

父親の苦しみを何も━━━━━━


銀二は、父親を失った悲しみや苦しみ、母親への恨みや怒り、一人になってしまった孤独感……

様々な感情に埋もれ、銀二も死のうと決意する。

しかし、どうせ死ぬなら母親と取り立てたヤクザを道ずれにしたい。

そう思い、銀二はたった一人でヤクザ事務所に向かったのだった。


そこにいたのが神龍組・組長、神龍寺 颯太だった。

颯太「なんだ、ガキ。
おめぇのようなガキが来るとこじゃねぇ!
消えろ!!
舘市!!」

舘市「ん。
……………坊っちゃん。ここは今から、惨劇になる。
危ないから、ここを離れな!」

銀二「だったら、俺にも殺らせろ。
ここの組長に用がある。
俺の親父がここの連中のせいで、殺された。
絶対に許さない!」


颯太と舘市は、銀二の雰囲気や目に驚愕しフリーズする。

颯太(なんだ、このガキ……)
舘市(ヤバいぞ、こいつ……)

舘市「颯太。こいつ…」
颯太「あぁ…
━━━━━━おい、ガキ。名前は?」

銀二「深澤 銀二」

颯太「深澤…お前が……深澤の息子か!」

銀二「あ?」

颯太「銀二、ここは大人に任せろ!
大丈夫。
お前にも、けじめをつけさせてやる」


そして、颯太と舘市は事務所に入っていった。

銀二は颯太の部下に、神龍組の事務所に連れていかれた。
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