【BL】泡沫の恋
帝さんは本気で温のことを諦めるということか
「はぁ……」
「えっちゃん!?」
俺はその場にしゃがみ込んだ
安心したら気が抜けた
「温は俺を振り回すのが得意だよね」
「そんなつもりは……」
「温、俺はいつも不安なんだ」
「不安?」
温は誰が見ても可愛くて魅力的なフェロモンを持つ
惹かれないアルファなんて、いや、ベータさえも惹かれない訳がない
いつか捨てられてしまうのでは、と不安になる
「僕がえっちゃんに振られることはあっても、僕がえっちゃんを振ることは無いです」
「俺が振るなんて……」
「前に別れようとしてきたの僕まだ許して無いですからね」
「ふふっ……ごめんね」
好きだから不安になる
それはこれからもあるだろう
それでも温のこと信じたいから
「温、温が成人したら結婚しようね」
「……はい」
俺はこの手を一生離さない