【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
第3話 距離が近い古賀くん
 二人きりで学校敷地内を歩く私と古賀くん。

「こっちの方が特別教室なんだけど、一つ一つ見る?」
「うん、そうしよっかな。その方がヒメといる時間長くなるし」
「……」

 そういう問題じゃないんだけど。

「音楽室は今は吹奏楽部が使ってるね。あ、今日は合同練習なんだ」

 案内しながらちょっと覗いてみると全部のパートが音楽室に集まって練習してた。

「へぇ、あ、ホントだ」
「っ⁉」

 ドアの横から覗き込んだ私を背中から覆うようにして、同じく音楽室を覗き込む古賀くん。
 制服がこすり合うくらい近くなって、ビックリしちゃう。

「こっちが運動部の部室がある方なんだけど……」
「あ、危ないよ」

 丁度道具を運んでいた陸上部の人たちが来て、ぶつかりそうになってたのかな?
 古賀くんが私の手を引いて抱きとめるようにして守ってくれた。

「っ⁉」

 でも、抱きとめる必要はあったのかな⁉

 可愛い顔をしていてもちゃんと男の子。
 私を抱きとめた腕や胸は女の子とは違っていて硬い。

 ドキドキしちゃって困った。
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