【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「そうだよな。彼女じゃないから嘘つくことになるもんな」

 落ち込んだように呟くと、「でも」と顔だけを少し上げる。
 ちょっと上目遣いっぽくなって、私は思わず「うっ」とうめく。

「でもヒメを守りたいんだ。仮でもいいから《Noche》の姫になってくれないか?」

 明るい茶髪の間から見える茶色の目は少し潤んでいて、キレイな肌の頬はほんのりピンク色。
 とっても可愛い顔で懇願されて、私は“姫になんてならない!”とは言えなくなった。

 くっ! あざとい! でも可愛い!

 狙ってやってるってことは分かってるのに、無下に出来ないのはなんでなんだろう。
 私は「んぐぐ……」と抵抗を試みたけれど、「ヒメ……」と子犬のような目で見られた瞬間陥落した。

「うっ……わか、った。でも仮だからね!」
「ホントか? よっしゃ!」

 了承の返事をした途端喜びの声を上げる古賀くん。
 やっぱり目を潤ませてたのは演技だったんだ、と思う一方で本気で喜んでいるのも分かって怒れなくなる。

 もう、仕方ないなぁ……。

 私はため息をついて困り笑顔を浮かべた。

 ヴァンパイアとか、総長とか、姫とか。
 わけ分からないことが立て続けにあってどうしたらいいのかも分からないけど、キレイで可愛い古賀くんを見ていると何とかなるかな?って思っちゃう。

 まったく、とんでもないことになっちゃったな。
 って、夕日に染まった空を見上げて思った。

END
< 20 / 20 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
神々と人が近しい世界・ハイリヒテル。 人は神に祈り、神はその祈りの力で人々に恩恵を与える。 かつては神に気に入られた人間はその御許に仕えていたが、それも久しくない昨今。 冤罪を着せられ婚約破棄されたティアリーゼはそのまま湖に沈められる。 それを助けたのはティアリーゼがいつも祈りを捧げていた推しの神、軍神ストラだった。 表紙公開 '23/04/02 更新開始 '23/04/05 完結&修正完了 '23/04/19
表紙を見る 表紙を閉じる
家の事情で日輪街へ引っ越してきたあさひ。 前の中学では剣道が強いことで王子様扱いされていたあさひはずっとカワイイものが好きだということを隠していた。 だから新しい学校ではカワイイものが好きだということを隠さずに済むようにと強いことを隠そうと決意する。 でも、早々にお隣の月島望が誘拐されかけているところに遭遇した。 思わず助けに入ったことで、望やその兄の四つ子と関わることに! 御守りの力の加護を持つという月島家の兄妹と関わりながら、あさひは本当の自分を見つけていく。 執筆期間 '24/06/12~'24/06/30 公開 '24/06/30 表紙は@__LONPEL__様のフリー素材をお借りしました。
クラックが導いた、追想の宝石店。
緋村燐/著

総文字数/6,448

青春・友情10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
兄弟のように思っていた幼馴染み・累に彼女ができた。 それ自体は喜ばしいこと。 でも、いつも隣にいた存在がいないことに真理は寂しさを感じていた。 だから、帰り道をいつもとは少し変えて寄り道をすることにした。 小学生の頃入り浸っていた、おじいさんが店主をしている宝石店へ。 でも、久しぶりに来た宝石店【KAROBU】にいたのは若い男性の店主で……? 2024/09/30

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop