追いかけろ、青。
「……なんであんたがここに」
「ははっ。通院してること知ってるくせに」
ゆっくりと下ろされた手。
そして、パッと離される。
この男はかつて、友利と並ぶ天才と呼ばれたピッチャーだった。
先輩を差し置いて中学2年でエースを張り、投げるも打つも右に出る者は居ないと言われていたほど。
だけど友利から受けたデッドボールの影響で、今ではボールを握ることすらできなくなった。
「もしかして俺の名前、忘れたとか?昔はよく一緒にキャッチボールした仲だろ?」
「…覚えてるわけないでしょ、そんなの」
「俺は覚えてるけどね」
「っ、…今さらなんなの?」
この男とは住んでいる場所が近い幼なじみ、というわけではない。
学校が同じだったことだって1度もない。
ただ、親同士が知り合いということで同い年のあたしたちは昔から関わりが多かったというだけ。
とくに小学生の頃。
お父さんの親友である男があたしの家に顔を出すと、必ず背中には1人の男の子もセットだった。
それが───久賀 水悠。