追いかけろ、青。




組み合わせ抽選会から数日経ち。

いよいよ今日、八木坂高校野球部は大舞台へと向かう。


私も試合日に合わせるようにホテルを予約して準備万端、なんと行きと帰りは友利一家と一緒に連れて行ってもらえることになった。


そんな私は、野球部の集合時間よりも早くに家を出た今日という朝。

学校まで送ると伯母に言われたが、そうではなく、とある場所の近くまででいいとお願いした。


それは、見送る前に会いたい人がいたから。



「お父さん」



早見家之墓───、


ひとつの前、途中にあるスーパーで購入した花を飾り、線香を立てる。

しゃがんで手を合わせると、今まで少し避けていた自分を悔やんだ。



「お父さん、私……野球が大好きになったよ」



父がいちばん喜ぶだろう、お知らせ。


今の私に後悔があるとするなら、お父さんとキャッチボールをしてみたかったこと。

すごく小さな頃の思い出は微かにあったが、今、したかった。


いつか、またしよう。


また会えたとき、そのときは私も昔よりは上手になってると思うから。



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