今会いに来ました。 カフェラテプリン道中記
 福岡盲学校は当時、木造二階建ての古い校舎だった。
明治生まれの古い校舎だった。
 グラウンドも狭くて可愛かったなあ。
 その隅のほうには防火用水の貯水池が在って、それが夏にはぼくらのプールに早変わりした。
 シーズンに入ると晒し子をどっさり入れて消毒する。
冬の地下水が溜まっているプールだ。 めーーーーちゃ冷たい。
プールから出るとシャワーを浴びる。 これがまた地下水だからめーーーーっちゃ冷たい。
教室に戻った頃には体が冷え切ってしまって大変だったなあ。

 でもそれより何より大変だったのは教室とプールの移動だっただろうね。
今みたいに更衣室は完備されていないから教室で着替えてからグラウンドを横切ってプールに行くんだ。
 もちろん、各教室からは丸見えだ。 職員室からもね。
女の子たちはどう思っていたのだろうか?
 まるで水着ショーみたいなんだもん。 恥ずかしがってた人も居るんじゃないのかな?
それはもちろん、生徒だけじゃない。 先生たちも同じだった。

 でもね、その古い校舎も3年でお別れすることになってしまった。
知事公舎建設問題が決着したんだ。
知事公舎を盲学校跡地に建てることを県議会が急いで決めたから。
 そこで昭和53年4月から新校舎へ移ることになった。 鉄筋コンクリート三階建ての新校舎だ。
福岡市に在った盲学校は筑紫野市の田んぼの中に移転した。
何でこんな所に移転したんだろう?
それまでは福岡市内で向かい側に小学校が並んでいた。
それに福岡市の中心部に在ったから環境としてはすごくいい所だった。
 でも、移転した校舎は田んぼのど真ん中に建っていて、世間から切り離されたような思いがした。
でもそれによって[愛のバス]に乗ることは無くなった。
ぼくらはマイクロバスで通学することになったんだ。
 当時は学園生も多かったからマイクロバスは満員だった。
賑やかだったねえ。
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