限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

05 嘘

 とんでもない事態の原因となったイーサンも一応は自分が悪いと思っているのか、必死で目配せをしてくるけど、お願いだから不自然だし止めて欲しい……。

「……ギャレット様。いいえ。何でもありません。彼とは、少し挨拶をしていただけですわ」

 ギャレット様はゆっくりとこちらへと近づき、直立不動になっているイーサンを睨んだ。

「ローレン。君が誰かに対し怒っているなんて、ただ事ではないだろう……おい。お前。名前を名乗れ。何もなく済むとは、思っていないよな?」

 先程まで戦闘していたから気が立っている様子のギャレット様は、当然のように自分の婚約者が他の男性と密会しているような現場を見つけて、大変ご立腹の様子だ。

 もう。嘘でしょう。

 こんな客席の裏側にまで本日の優勝者、ギャレット様が来るなんて。

 イーサン。貴方が妙な余裕を見せてこんなことになったのだから、ここは上手くやってよ!

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