ズルいよ、藤堂くん
【07.】初めては、甘く



藤堂くんと話せて嬉しくて。



私の肩に頭を乗せる藤堂くんを、
いつの間にか、──────抱きしめていた。



とっ、藤堂くんに、
ドキドキしてるのに抱きしめたままで。



「........................っ、」



いまは、
完全に、離れるタイミングを見失ってると。



「早川さんって、
手だけじゃなくて、全部柔らかいんだ、」



そう、ボソリと呟く藤堂くんの声。



「...............っ、な、ぁ、ぅ、」



〝全部〟って言葉が、何を示すのか、
半分、分かった気がしたから言葉が出なくて。



「ふっ。かわいー、
そういう、初心なのって余計に」



そのまま、
私の耳元に、囁くように落とされた言葉。


< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop