女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き
「あの女が俺に飲ませた惚れ薬を売った魔女が言うには、効果はひと月は続くそうだ。そして、効果をなくす方法は、ただひとつ。効果が切れるまでの時間が経つしかないと」

 王都騎士団屯所の団長室には、先ほど起こった信じ難い事態をどう対処すべきかと、難しい顔をした面々が揃っていた。

 本日、王都騎士団の面々は色好みと有名な未亡人に、午後の見回り中偶然出くわした。

 彼女を見るなり女嫌いなはずの団長が、とろっと蕩けた表情になり、意味ありげな笑みを浮かべ去っていく彼女に追いすがり、周囲の目もはばからずに待ってくれと追いかけそうになったのだ。

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