期待の将星と毎日てんてこ舞いな洗濯メイドの、やんごとなき関係。
この国では王の住むお城で働けるということは、とても名誉なことだ。

 ともすれば高貴な王族とも接近することが出来るから、色んな身辺調査はされる前提がある。採用されたとなれば、それだけで身分証明になるし、お給金も良いから希望者は多く、先方は色々な条件から採用者を厳選出来る。

 そういった理由から、代わりなんていくらでも居る。怠惰な人間なら、即解雇だ。だからそこで長く働けるということは、勤勉だという判断になる。あと、ある程度の礼儀作法は、場所柄必要だからと教えて貰える。

 つまり、女性からすれば結婚する前の花嫁修業先にしては、とても安全だしこの上ない職場だ。城内に寮だって用意されている。

 なんなら、城で働く男性は完全に選ばれし者ばかりなので、未婚女性の出会いの場としても最上級なのである。

 国民の義務である初等学校を卒業し私もダメ元で申し込んだところ、なんと奇跡的に採用通知を貰うことが出来た。

 配属されたのは城で働くメイドだとしても下位の洗濯メイドだったけど、そんなことなんてどうでも良くなるくらいに、王都の他の職場で働くことを考えると与えられる待遇などは雲泥の差なのだ。

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