鬼の生贄になったはずが、溺愛されています
「キスをするのは初めて?」


聞くと光鬼の頬が赤く染まる。
返事をしてくれなくてもそれだけでわかった。

光鬼はこれほど優しいのに、みんなから怖がられてひとりで生きてきたのだ。
人のぬくもりなど、知るはずもなかった。

そのためか、1度ハナの唇に触れてしまえば後は夢中になった。
角度を変えてハナの小さな唇に自分の唇を合わせる。

互いの息が重なり合い、どんどん熱を帯びていく。
ハナはキスをしながら自分の着物を自ら脱ぎ捨てた。


「ハナ。愛してる」


耳元で囁かれるとくすぐったい。
自分は生贄としてここへ来たのに、本当にこれでいいのだろうか。
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