鬼の生贄になったはずが、溺愛されています
そう考えるだけで武雄の胸は張り裂けてしまいそうだ。


「ハナが生贄になる日程を、俺にも伝えなかったよな! 卑怯じゃないか!」


武雄がハナに思いを寄せていることは村人たち全員が知っていることだった。
今回ハナを生贄にするためには、武雄は邪魔な存在だったのだ。


「みんながら俺を裏切ったんだ! ハナのことも裏切ったんだ!」


武雄は叫ぶ。
しかし誰も返事をしない。

父親は険しい表情を浮かべて、武雄を集会所から追い出したのだった。
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