鬼の生贄になったはずが、溺愛されています
「そんな言い方しないで。それより、あなたこそいいの? 私は寿命が短いけれど」


その言葉に光鬼は笑った。


「1度言った。俺はハナの寿命が尽きるまで愛すると決めた」


光鬼がハナを抱えて立ち上がった。


「この山を出よう。新しい住居を築くんだ」

「素敵ね」


山から鬼がいなくなれば生贄の文化もなくなるはずだ。
この大きな山は切り崩され、狭霧村により多くの太陽光が降り注ぐことになる。


「行こう。俺たちの未来へ」


光鬼が大きくジャンプをして川を渡ったとき、そこでは虹色に光る魚がふたりを歓迎するように飛び跳ねたのだった。
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