悪役令嬢なのに、完落ち攻略対象者から追いかけられる乙女ゲーム……っていうか、罰ゲーム!~前世から腐れ縁なちゃっかりヒロインに、逆ハーエンド押し付けられました~

01 乾杯

「「かんぱーい!」」

 長い時間をかけて見事目的達成した私たちは、満面の笑みを浮かべ細いシャンパングラスを鳴らした。

 祝いの席に相応しい、涼やかな鈴のような音がした。

「と、言う訳で、念願の乙女ゲームクリアー! 昨夜での卒業式で、終了しましたー!!」

「よかったわねー! クロエ! おめでとう!」

「ほんっとうーに、レイラがこれまでいっぱい協力してくれたおかげだよ!! ありがとうー!!」

 クロエは隣に座っている私の両肩に手を置いて、うるうるとしたくりっとした丸い目を向けた。

 彼女は乙女ゲーム世界のヒロインだ。愛くるしい顔にはピンク色の瞳。ふわふわのピンク色の髪に、細くて華奢な体つきも保護欲をそそる。

 私。レイラ・ルメッツァーネはというと、彼女をことある毎にいじめる係である悪役令嬢になるはずだった……けど、そんなことは神に誓って一度もしていない転生者。

 そして、目の前に居るクロエだって、私と同じ転生者だ。

 前世では隣同士の家に住む同い年の幼馴染だった私たちは、どんな偶然からか、同じ乙女ゲームの世界に生まれ変わってしまった。

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