『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
◆結局苺佳を泣かせ怒らせたのだが、最後の最後で苺佳との交流がなくなることをおそれ、
誠心誠意謝り何とか謝罪は受け入れられることとなり、事なきを得た瑤だったが。
苺佳への想いを断ち切れずにいた為、心中複雑なのは相変わらず継続中。
そんななか、入院していた父親の退院、そして高齢両親の先を見据えての引っ越し。
七夕祭りの翌日の言動から約1週間後のこと・・父親の退院を機に
両親は瑤と孫娘の暮らす町に引っ越してきた。
そういった事情で瑤の母親が比奈の送迎を引き受けてくれることになった。
出勤する前の朝の時間ゆっくりできるのは瑤にとってものすごく有難いことだった。
また苺佳に会わずに済むことも瑤にとってはある意味渡りに船だった。
いくら好意があっても実らぬ気持ち《恋》なら、
できるだけ接触しないほうが身のためというものだ。
◆比奈の送迎を母親がするようにってから久しぶりに苺佳に会い
『私は会えなくてちょっと寂しいーけど』とか『・・仕事忙しいの?』と言われ、
苺佳の問い掛けに『もう比奈の送迎はしないのか?』と訊かれているようにも感じたけれど。
瑤だってたまに会ってみたいと思うものの、会えば自分が苦しくなるだけだから、
母親から比奈を迎えには行かなくていいと言われた言葉に、有難く乗っからせてもらっているのだ。
男として向き合い、苺佳とどうにかなりたいと願っても
すでに伴侶のいる彼女にそれを求めるのはむずかしく、万が一自分の願いが成就したとしても
世間からは不倫と呼ばれることになる。
苺佳をそのような世間からの冷たい風にさらすようなことは本意ではない。
ましてや、今の自分は女性として苺佳の前に立っているのだから。
異性愛者の苺佳を驚かせて困らすだけだ。
だから今の状況に甘んじて距離を置くのが最善なのだと瑤は自分の気持ちを宥めている。