『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
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 その前にあった怒りや悲しみが次の大きな波ですっぽりと覆われてしまい、
上書きされるかのように、あれほどあった夫とその相手の女に対する憎しみが
薄ぼんやりとぼやけていくような感覚を体感した。


 少し気持ちが落ち着いてきた頃、実家に預けていた娘を
迎えに行くことにした。



 『英介さん、眞奈を迎えに行くついでに久しぶりに実家に
泊まってこようかと思うの。いいですか?』と書いた文面の最後の
『いいですか?』の文言を消してLINEを送信した。


 もはや自分の思うこと、したいことは自分に決定権を持たせるのだ。


 お伺いの文言などいらないよね。


 それにおそらく美羅に会ってる夫にとっても、もう私が家にいても
いなくても無問題だろうし。


 もうこの時、私は夫と別れることを決めていた。



 後はそれを『いつ』するか、だけのこと。

 紙切れ一枚で夫なだけ。

 気持ちの中ではすでに他人認定済み。




 お別れの日を迎えるその日まで、妻という役を演じなければならない

というのは少々かったるいところではあるが、今はまだ決戦の時ではない

から仕方ないのだ。





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