『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 ここまで話した古家氏が苦渋の表情でしばし間合いを取った。

 この間合いの意味するところは、よもや・・。



「残念ですが影山コーポレーションとの合併はないものとご承知おき下さい」


「合併の1番手だったうちが落とされるというのは、合併の案そのものが
なくなるということでしょうか?」

 親父が問う。


「いえ、そうではありません。

 このような話驚かれるのも無理はありません。

 今からその理由を説明させていただきます」



 古家氏が言うや否や、村元さんから茶封筒が向かい合わせに座っている
俺たち親子3人に配られた。


「その茶封筒の中のものを見ていただきましたら自ずと理由が分かるかと思います。

どうぞご覧になってください」



 茶封筒の中には調査報告書と写真が数枚入っていた。

俺と山波美羅との写真だった。

親父は天を仰ぎ、横に座る兄貴は憤怒の形相で俺を見てきた。

今、親父と兄貴の会社がどれほどの業績不振に見舞われているのか定かではないが、
それ如何によっては俺自身詰むだけでは済まずとんでもないことになるかもしれない、
そう瞬時に俺は理解した。



「ご覧のようにわたしどもの婿殿は娘を裏切り続けてるような状況でして、
娘の意向でやり直すという道もない為、縁戚という繋がりもなくなりましょう。

娘の夫が浮気をして離婚になるというのに夫側の身内の会社と合併などしようものなら、
物笑いの種以外のなにものでもありませんな。

とまぁこのようなことから、合併の件はご承知おきください。



 英介くん、何か申し開きはあるかね? 

 仕事はそれなりに貢献してきたということで退職金は出すとし、
この機に退職を申し渡すこととします。


 また退職金は娘への慰謝料と相殺とする。
 よろしいかな? 

 不服があるというなら、手元にまだまだ未公開の資料もあるので
こちらはそれを提出する用意があるが、どうだろう?」


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