放課後はキミと。

秘密はキミと。



コンビニも日によっては暇だ。
あまりやることもない日は、ぼーとしてることもしばしば。

今日は珍しく店長がいたので、二人でどうでもいい世間話をしていた。
店長は20代で、ノリが軽い。茶髪だし、お客さんにバイトとよく間違えられている。

「それでですねー……あ、いらっしゃいませー」

来訪を告げる音が鳴ったので慌てて話を中断。
お客さんのほうに顔を向けた瞬間、あたしの顔は一瞬で強ばった。
それはそれは、感情のない顔になったに違いない。


ナンデカレガココニイルノデスカ。


「あ、いつものイケメン。卯月さん、知ってる?」
何も知らない店長は、お気楽にあたしに問いかける。
「はあ、まあ」

知ってるもなにも……。
涼村くんは店内に入ってあたしを目に留めると、一瞬睨んだ。
びくびくっとあたしは自然とおびえてしまう。


「あんた、当分バイト減らせよ」

なあんて思い出せばこないだいわれてたけど。
そんなの関係ないと思ってバイトをいつものようにいれた。

いや、でも減らせよっていわれただけだからやましいことないんじゃない?
だって入るなとはいわれてないもん。


心の中で必死に言い訳しまくってると、涼村くんはお菓子コーナーに向かっていった。

涼村くんがいると思うだけで緊張。

「……あの子、知ってるの?」
そんなあたしの様子を怪訝に思ったのか、店長は小声で聞いてくる。
「は、い。同じ、高校なので」
「あ、そうなんだ。イケメンだし、有名そうだもんね」
そんなどうでもいいことを話していると、涼村くんがポテチを持ってきた。

レジに通してお会計をする。

「16……」
「あんたさあ」
金額を言い終える前に涼村くんにぶっこまれる。
突然でびっくりしたので「ひゃい」なんて間抜けな声がでた。

「バイト、ちゃんと減らしてるんだろうな」
ド直球に聞かれて、ただただ肩が縮こまる。


このひとこわいいい。
さっきまで心の中で唱えていた言い訳はでてこない。


「へ、へらしてます!」
うわずって声が変になったあたしに涼村くんは明らかに信じていない目をしていた。

「君ら、付き合ってるの?」


……ふぁ!?

なんの気なしの店長の爆弾発言にあたしはもはや声さえ出なかった。
涼村くんすら言葉を失って店長をじーっと見つめる。

しばらくの沈黙のあと、
「いや、付き合って、ないです。えと、いま、勉強、みてもらってて……」
なんてごにょごにょする。


うわあ、あたし怪しい。
怪しすぎる!

< 14 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop