相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
凄まじい独占欲と嫉妬
それから数日後。

「━━━━━あ!いたいた!王宮!」

ランチの時間。
会社を出てランチに行こうとしていた黒羽に声をかけてきた、若畑。

「何?俺、今からランチに行くんだ」
「じゃあ、俺も!」

「え?嫌だ」

「え?どうした?
いつもは、嫌なんて言わねぇだろ?」

「………とにかく嫌」

「…………なんか、怪しい…」

「は?」

「まさか、浮気!!?」

「は?冗談やめてよ」

「……なーんて!
まぁ、半分冗談だけどよ。
何なんだよ!!
いいじゃん!
てか!ついてく!」

「は?
若畑こそどうしたの?いつもはこんなしつこくないのに」

「それがさ……」
「若畑さーん!!こんなところにいたー!」
女性社員が駆けてくる。

「ゲッ…来た……」
若畑が苦笑いをして、呟いた。

それを見て黒羽は、なんとなく状況を察する。
ため息をつき、若畑に言った。

「一つ約束してくれるなら、いいよ。ランチ」
「え?マジ!!?する!する!」


「━━━━━さっきの社員、秘書課の人だよね?」
「そう。
この前、俺達の課の男と秘書課で食事をしたんだ。
そしたら、さっきの奴に妙に好かれてさ。
でも俺は、まっったくタイプじゃねぇつうか、興味ないっつうか……
断ってんのに、しつこくて……!」

「ふーん」
「あんましつこいから、手が出そうでさ」

「それで?俺に?」
「そう。しばらくは王宮とランチってことにさせて?
頼む!!」

「まぁいいけど」

「サンキュ!
あ!飯は、奢るから!何処行く?」

「定食屋。
◯◯デパートのレストラン街にある」

「あ!ん、わかった!
でもなんで?」

「その定食屋、俺の奥さんが勤めてるんだ」

「へぇー!
会ってみたかったんだよなぁ。
ほら、入社してすぐ、嫁さん会社前に来たんだろ?
その時、俺まだ会社にいて会えなかったからなぁ」

「でも、気安く話しかけないでね」

「はい?」

「挨拶はしていいけど、挨拶だけ。
スッゴい、感じ悪い同僚を演出して!」

「は?意味わかんねぇ…
つか!それなら、違うとこいこ?
定食がいいなら、旨いとこ知ってるし俺!」

「ダメだよ。
バイトの男の顔を拝むんだから!」

「………さっぱり意味がわからん。
どうゆうこと?」

黒羽は簡単に説明する。
「だからね。
兎ちゃんに会いに行くんじゃなくて、そのバイト野郎を見に行くの。
どんな面してるか見ておかないと!」

「………」
(スッゴい独占欲だな…
つか……ガキ!!)
若畑は、呆れたように黒羽を見ていた。
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