相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
全て、兎ちゃんの為
ある日の休日。

「━━━━はぁ…やだなぁー、離れたくないなぁー」
朝から黒羽が、羽咲にべったりくっついていた。

「羽くん、離して?
もうそろそろ用意しなきゃなの」

「えー!もう少しだけ!」

「でも、まだ何も準備出来てないし……」

「ちょっとくらい遅れたっていいんじゃない?」

「………」
(困ったなぁー)


今日羽咲は、友人とランチをする約束をしていた。
大学の時の友人達で、久しぶりに会うのだ。

実はこのランチの約束も、黒羽を説得するのにかなりの時間を要した。

「休みの日は、兎ちゃんと片時も離れたくない!」
と駄々をこねる黒羽を説得するのに、約一週間もかかったのだ。

それでも直前の今、やっぱり駄々をこねていた。

「羽くん、お互いに友達も大事にする約束でしょ?」

「わかってるよ。
行かせないつもりはないよ。
ただ、もう少しくっついてたいだけ」

「でも、遅れるのは嫌」

「…………わかった。いいよ、用意してきなよ!」
漸く、離してくれた。

準備をして、黒羽が待ち合わせ場所まで送ると言うので、一緒にマンションを出た。


「━━━━兎ちゃん。
何度も聞くけど、男はいないよね?」
指を絡めて手を繋ぎ、確かめるように言う黒羽。

「うん、女子会だから!」
羽咲は、黒羽を見上げて微笑んだ。

「ん。わかった!」


そして、待ち合わせ場所に着く。
友人達は既に待っていて、羽咲は黒羽と手を振り合い駆けていった。

「ほんとに、女だけみたいだな」
安心したように黒羽は、マンションへ戻った。


「━━━━━久しぶり~!」
「マリンちゃん!ヒデミちゃん!コマツちゃん!
お待たせ!」

四人は大学の時、よく一緒にいた。
近くのイタ飯店に向かう。

「羽咲、あれからどう?」

三人は羽咲が不倫してたことや、事故に遭い子宮をなくしたことを知っている。
マリンが、窺うように聞いてきた。

「大丈夫!
もう吹っ切れたし、私結婚したの!」

「「「あの男と!!?」」」

「へ?
ま、まさか!!?
違う男性だよ!」

「あ…あ、そうだよね…」
「びっくりしたぁ…」
「心臓に悪い…」

「ごめんね、心配ばっかりかけて……!」

胸を撫で下ろすマリン達に、羽咲は安心させるように微笑んだのだった。
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