相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
本心をさらけ出して?
まだ暑さの残る、秋の午後。

黒羽と羽咲は、デートをしていた。
散歩好きな羽咲のため、大きな公園をゆっくり手を繋いで歩いている。


「なんだか、暑いね!」
「そうだね!
風はあるけど、生ぬるいね……」

「羽くん、なんか飲まない?」
「うん、いいよ!」

近くの自動販売機に向かった。
「何飲む?
一緒に飲まない?」
「いいよ!
じゃあ…暑いし、コーラ?」

「え…コーラ?」
「嫌?」

「炭酸はちょっと…」
「どうして?
そういえば、兎ちゃんって炭酸飲まないよね?」

「空気溜まるし、好きじゃないかな?」
「あー、そうゆうこと!
じゃあ…ポ◯リにしよ?」

買って、羽咲に一口飲ませた黒羽。
「フフ…間接キス!(笑)」
と笑って、嬉しそうに飲んだ。

「フフ…」
「あー、今“ガキ”って思ったでしょ!?」

「フフ…ううん(笑)
フフ…フフフ…」
堪えきれないという風に、クスクス笑っている。

「ちょっと!兎ちゃん、笑いすぎ!!」

「フフフ…なんか……」
「もう!笑いすぎだって!」

「幸せだね!」

「え?」

「あの頃は、こんな風に幸せになれるって思ってなかった」

「“あの頃”って、あのクズ?」

「クズなのは、私もだよ?(笑)
剣豪さんと不倫してた時、先が全く見えなかった。
“今”しか考えてなかった。
“剣豪さんに会いたい”“離れたくない”って。
あの頃、羽くんが眩しくて堪らなかった。
羽くんは、真っ直ぐだったから。
何の曇りもなくて、ただ私を真っ直ぐ想って伝えてくれてた。
だから余計に、羽くんとの未来なんて考えられなかった」

「どうして兎ちゃんは、あんな奴を好きになったの?」

「え?」

「………」

「羽くん?」

「………あ!待って!今のなし!!
聞きたくない!
あんなクズことなんて!」

「羽くんと同じだよ」

「え?」

「羽くんが私を想ってくれてるのと、同じ。
“ただ、好きって感情しか働かなかった”
羽くんだって、愛人で子どももできない穢れた私を、理屈なしで好きになってくれたでしょ?
相手がどうとかじゃない。
彼といると全てがどうでもよくなって、ただ好きで、傍にいたいと思ってた。
ただ、それだけ」
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