辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 髪にかぐわしい香油を塗っていたデルフィーヌが鼻を鳴らす。

 エリーズもまた、彼女に同意するようにゆったりとうなずいた。

「そういうのも必要になるのかぁ。明日からは自分で頑張ってみる」

「ニナ、全部留まったよ」

 リティが声をかけると、ニナがくるりと振り返った。

「ありがとう! 私も手伝おうか?」

「私は大丈夫。使用人に着替えを手伝ってもらったことがないの」

「へえ、じゃあ水を飲むときも自分で外に出るの? 大変だね」

「それが当たり前だったから、むしろ手伝われるほうが落ち着かないかも」

「おもしろい! こういうのがいいよね、お妃選びって」

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