センセイ、ありがと。

姉ちゃんの先生。

「コンビニでも行こうか。」





「ねえ、圭さん、姉ちゃん、泣いてた。」




「……そうだね」




久しぶりに見た。……嬉し泣きっぽかったけど。





「圭さん、ねえちゃん、学校で楽しそうにしてる?苦しそうじゃない?時々泣いたり、してない?」




ダサいことくらい分かってる。



唇を噛み締めたらバレることだって、実はあんまり涙止めるには効果ないって、そういうことも気づいてる。





「笑ってるよ。いつも。誰にでもね、」





「……そっか。」





「残念なの?」






だって、




それなら姉ちゃんは、






「どこにぶつけてるの?悲しみとか、怒りとか、苦しみとか、痛みとか。姉ちゃんはどうやって生きてる?」






「……わからない。俺にも。昔から人の心読むの苦手でね。……でも、そんなに見たことない。雪くんの姉ちゃんは、哀は強い。」





そんなこと、



しってる





もうずっと、知ってる。




一番近くで、そばで、見てきたから。





何も支えられなかったから。




その分の重みに耐えてたことも、知ってるよ。






「……うん、……今日、家、出てって……一番辛いのは、姉ちゃん、なんだ。俺と姉ちゃん、母さんが、違うんだ。……内緒だよ、俺の本当の母さんは、もう死んだんだって……ねえ、父さんって、なんでまたあの人と結婚したんだろう。」





「……俺にはわからないことが多すぎる。今何か言っても余計なことを言うはめになる。」






「……圭さん、やっぱ変だね。」





ここはさ?普通下手でもなんか言うでしょ。





「……そうかもな」







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