私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
「やめろやめろ! ベタベタすんなって!!」
「むぐぐ」

 引き寄せられるように唇同士を近付けると、私の唇を覆うようにジルが手で遮ってしまう。

“本当に照れ屋なんだから!”

 そんなところも可愛いが、そろそろ口付けくらいはしてみたい。
 だって私は。


「ジルの運命なのに」
「その論理の根拠を出せ」
「運命だもん」
「だからッ! 根拠をッ! っておい、顔近付けてくんな、俺の上に座ろうとすんな、慎みを持てッ」
「愛の前には全て無力だわ」
「法律が俺を守ってくれないッ!」

 ぎゃいぎゃいと騒ぐジルの隙をついてむちゅ、と思い切り狙った唇に口を重ねるが、残念ながら寸前で避けられてしまう。


“まぁ、頬っぺたでもいっか”

 昔はもっとふわふわだったのに、いつの間にか引き締まってしまったその頬にかぶりつき、ちゅうっと吸うと赤いのか青いのかよくわからない顔色になったジルが無理やり私を引き剥がした。


「ほんっとに……! お前はいつもいつもっ」
「大層美味でした」
「最悪すぎんだろ!」
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