私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-

2.運命の根拠

“ドアから覗くくらいはいいわよね?”

 流石に何もしないのに中にまで入るのは変かもしれないが、カートを押す彼女についていき、そっと淹れている姿を扉の影から眺めるくらいは許されるだろう。

“ついでに友人と過ごすジルも見れるし!”


 あら、いいことずくめじゃない! とウキウキしながらリースと一緒に足を進めた私は、荷物のあるリースの代わりに応接室のドアをノックしようとして――

 中から漏れる声にピタリと動きを止めた。


「そういやバージルはまだ婚約してなかったよな」

“ジルの、結婚の話?”

 そういえばさっき友人の一人が結婚すると言っていた。
 ならば話題としてそういう話が出てもおかしくはない。

 けれど。

「やっぱりお前がまだ婚約も結婚もしてないのって、あの義姉がいるからか?」

 話題の中に突然自分が現れてドキッとする。
 
 彼らの話がリースにも聞こえているのだろう。
 少し心配そうな視線を向けられた。


「は? なんの根拠でそんな話になるんだよ」
「だって確か26歳だろ? 行き遅れの義姉って、それだけで厄介じゃん」
「別に厄介だとは思ってないけど」
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