恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
週明けに、いつものように忠に声を掛けられ、体を重ねた。
そして、シャワーを浴びて着替えた後、忠が神妙な顔をして、
「弥栄子、実は、俺、結婚するんだ」
忠が突然切り出した言葉に、びっくりした。
「えっ?結婚?」
「営業部の、喜田さんいるだろ。2月前くらいに、営業部で飲み会した時、酔ってたから、家まで送ったんだけど、その時誘われて・・・」
「そう。それで?」
「さすがに部下だし、一旦断ったけど、誰にも言わないからって。俺も酔ってたし、つい向こうの勢いに負けてさ。そのまま・・・」
「妊娠、したんだね?」
「そうなんだ。昨日、連絡があって、待ち合わせ場所にご両親も来ててさ。もう結婚する話までになってたよ」
「それは責任取らないとダメよ。っていうか、それなのに何で私と寝るのよ」
「それでだけど・・・これから何ヶ月も我慢出来ないしさ・・・それに、俺、やっぱり体は弥栄子と1番合うし。また来ていい?」
「何言ってるのよ!彼女の方が大変なのに、あんたがそんないい加減でどうするの!
もうこの関係は終わりよ」
そう言って、鞄を突きつけた。
「もう帰って。ほらっ、早く」
「弥栄子、頼むよ」
「私、妻子持ちとはしないの。もう来ないでよ」
忠は渋々、鞄を持って、
「もし、気が変わったら言ってよ」
そう言って、家を出て行った。
ほんと、どうしようもない女好きなんだから・・・
悲しさも嫉妬の感情も起きない。
忠との体だけの関係に、終止符を打った。
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