あしらってるつもりの浅黄くん SSまとめ
 千歳の声がやわらかく聞こえて、自分とくらべてしまって。それに、気にしなくていいわけないだろ、とか胸がもやもやして何も言えない。すると、ぺた、と千歳が肩をよせてきた。


「ほんとに。許してあげる」


 にやっといたずらっぽい顔でのぞきこまれる。


「ぎゅー、してくれたもんね」

「っし、てないっ! 慰めただけ!」

「えー! らぶらぶな感じだったじゃん!」

「全然ちがう! あれはスクランブル交差点の感じ!」


 ワールドカップとか、そういう。


「ええ……じゃー別でお詫びしてもらわないと」

「うわ」


 ぶつぶつ言いはじめた千歳にイヤな予感がして思わず息が漏れる。


「なにしてもらおうかなぁ……」


 断りづらいのをいいことにとんでもないこと言われるやつだ……! たとえば。


「せっかくだし……」

「待て、やっぱ」


 まっすぐな瞳にみつめられて、ぎ、と固まる。

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