君と一番の恋をする
秋の祭りの予兆


「ん~、眠いよ~」


私は眠気眼をこすりながら校門を通る。

あのあと、絵筆ちゃんに詳しく話を聞きながら今後どうするかを話し合っていたらすっかり寝るのが遅くなっちゃって。

でもとりあえずは清くんの様子を見てみようってなったんだ。下手に行動して失敗してもだめだからね。


そういえば、陸人くんからなんにも連絡きてないなあ。大丈夫かな。
そんなことを考えながら教室についてドアを開けると、目の前には奈央ちゃんがいた。

肩をふるふるさせて、なんだか様子がおかしい。


「どうしたの、奈央ちゃ……」

「どうしたのじゃ、ないわよ~っ!」


すると突然、顔を覆ってわっと泣き出した。
え、ええ……っ!?

なんで、泣いてるのっ!?


「ちょ、ちょっと、大丈夫?」


顔を覗き込んで言葉をかける。
奈央ちゃんはそんなちょっとしたことで泣くような子じゃない。というか、泣いてるところを初めて見た。


「とりあえず奈央ちゃん、どっか別の教室いこうか」
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