自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 しかしグランツ様の隙を突いて、黒フードの男数名が、玉座目掛けて突き進んでくる。

 何か武器になる物は無いかと回りを見渡していると、サラの声が聞こえてきた。

「リリアーヌ様!これを!」

 サラの手から放物線を描くようにしてクルクルと飛んできたのはリリアーヌの剣だ。リリアーヌはそれを片手で受け取った。

「サラ、ありがとう」

 リリアーヌはサラに感謝の言葉を述べると、剣を抜き黒フードの男達と対峙した。黒フードの男達は自分達の前に立ちはだかる青いドレスの少女を見て鼻でフンッと笑って見せた。それを見たリリアーヌも口の端を上げ不敵に笑って見せる。すると男達が眉の皺を深くしながら、リリアーヌに向かって剣を振り上げてきた。リリアーヌはそれを綺麗に自分の剣で受けてみせると、大広間に金属音が響き渡った。男は力業を見せつけるようにリリアーヌの剣を押しやろうと、じりじりと前へと踏み込んでくる。

 さすがに男性には力ではかなわない。

 リリアーヌはクルリと体を反転させ、剣を滑らせながら男の後ろを取った。そのまま更に体を回転させ男に回し蹴りを食らわせた。男の体は横へとすっ飛び、隣の黒フードの男を巻き添えにして転がった。それを見ていた黒フードの男達の動きがピタリと止まる。

 そうよ。

 あなた達の敵はこの私。

 私を倒さなければ前には進めないのよ。




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