自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 リリアーヌ様の叫び声が聞こえる。

 俺を思って泣いてくれているのだろう。

 もうあなたを見ることも出来ない。

 声も聞こえなくなってきた。

 手足の感覚も無く、暗闇に引きずり込まれていく。

 リリアーヌ様……あなたはいつもキラキラと光輝いていた。そんな光輝くあなたが眩しくて何度も目を細めた。俺はあなたを遠くから見つめているだけで良かった。それなのにあなたの隣に立つことを夢見てしまった。

 望んでしまった……。

 それがいけなかった。

 そのせいであなたを悲しませた。

 光輝くあなたの世界に俺も連れて行って欲しかった。

 あなたに救って欲しかった。

 とんだ甘えだ。

 だからダメだったんだ。

 女々しいな……。

 救って欲しいだなんて……。

 それでも、誰よりもあなたを愛していた。

 この思いは団長にも負けていないと思っている。

 リリアーヌ様……俺が幸せにしたかった。

 どうか幸せになって下さい。

 この先あなたが笑顔でいられますように……。

 俺はそう願いながら意識を暗い闇の中へと沈めていった。




< 132 / 140 >

この作品をシェア

pagetop