自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 それからしばらくして、リリアーヌは謁見の間に呼ばれていた。

 自分がここに呼ばれる理由が分からない。

 リリアーヌはいつもの騎士服に乱れが無いか確認して、剣の鞘に触れる。すると空気がピンッと張り詰め、謁見の間の前で護衛として立っていた騎士の喉がゴクリとなった。リリアーヌは瞳を伏せ青緑色の瞳を光らせながら謁見の間へと入って行く。すると王の玉座の前に(ひざまず)く一人の青年がいた。青年は少年から青年へと成長したばかりなのだろうか、骨格に丸みがあり、まだあどけなさが残っていて可愛らしさがある。その青年がパッとこちらを向いた。

 そしてリリアーヌは息を呑む、そこにいたのは……。

 ルーニ……。

 嫌違う、青年はルーニより幼く見える。

 青年はすぐに立ち上がり、リリアーヌの前に立った。

「あなたがリリアーヌ・サライヤス様ですね。私はガルレシア王国第五王子、ルアルド・ガルレシア。ルノリア・ガルレシア……いや、ルーニ・アドバンズの弟です」

「ルーニの弟……」

 ニッコリと笑ったルアルドの顔は、人懐っこい笑顔で笑うルーニにそっくりだった。

 ルーニ……。

 人懐っこい笑顔のルーニを思い出し、瞳の奥が熱くなる。

 リリアーヌの瞳がユラユラと揺れ、青緑色からペリドット色へと変わる。リリアーヌがルアルド殿下を見つめたまま動けずにいると、陛下の隣にいたドミニク殿下が説明をしてくれた。

「リリアーヌ嬢、彼はガルレシアに謀反を起こす為にここにやって来たんだ。そのために我がルーレンス王国の力が借りたいと言うこと何だが……」

 ドミニクが話している途中で失礼だと思ったがリリアーヌは瞳を輝かせた。

「私にやらせて下さい!」

 前のめりにそう言うと、ドミニク殿下が苦笑した。

「君ならそう言うと思ったよ。それなら話は早いね」

 ドミニクとルアルドは顔を見合わせ頷き合った。



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