自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 *

 王都へと向かう馬車内にて、メイドのサラ・ブライアンが溜め息を付いた。

「お嬢様、大丈夫ですか?」  

 毎日サラが心配した様子で、同じ言葉を繰り返す。

「気を抜いてはいけませんよ。剣はもってのほかです。絶対に触れてはなりません」

「分かっているわよ。サラは心配性ね」

「はぁー。お嬢様は、ほわーっとなさっているから……」

「あら、ありがとう」

「褒めているわけではないのです」

「そうなの?」

「はぁー、心配です……」

「ふふふ……大丈夫よ。心配いらないわ」

 社交界にて噂の元となっていた、シモレンツ辺境伯令嬢リリアーヌ・シモレンツは微笑んだ。



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