こんなはずではなかったのだが…… ― 女嫌いな天才脳外科医は真実の愛に目覚める
10,初めて抱かれた夜
「本当」と玲人くんが返して私にキス――。
 なにが起こっているのかわからなかった。
 彼が私を好き?
 えええ~!
 脳内はパニック状態。
 目と鼻の先には彼の顔があって、なにも考えられない。
 彼は私と唇をゆっくり合わせてキスを終わらせる。
 その瞳は謎めいていて、彼の心情が見えない。
 玲人くんの気持ちを探ろうとその瞳をじっと見たら、彼は私と一瞬目を合わせ囁くように言った。
「好きだよ」
 彼の低音ボイスが耳に響く。
 花火の音にかき消されず、はっきりと私の脳に残って……。
 頭の中でリフレインされたかと思ったら、彼が私の頭を掴んで再び口付けてきた。
 私の唇を角度を変えて何度もついばみ、舌を入れてくる。
 なに……これ?
 微かにシャンパンの味がする。
 私が驚きで目を大きく見開いている間も、彼はくチュッと水音を立てながら口内を探索する。
 どう息を吸っていいのかわからなかった。
「んん……」とくぐもった声をあげながら彼の肩を掴むと、彼が私の舌を吸い上げてきた。
 激しいキスに脳がおかしくなりそうだ。
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