女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
五時間ずっと手術室にいたせいか、無性に喉が渇く。
 マシンのコーヒーを淹れ、一息ついていると、例のごとく笠松が現れた。
「おっ、手術終わったんだ?」
 いつもは飄々としたした顔をしているのに、今日は俺を見て安堵した顔をする。
「ああ。ついさっき無事によかった」
「それはよかった。さっき裏口で優里ちゃんに会ったんだけど、いつもより大荷物でさ、慌てた様子で帰っていって気になったんだよ」
「その話……いつまで続く?」
 話が長くなりそうだったので、要点を言えと暗に迫れば、笠松はソファに腰を下ろした。
「まあ黙って聞けよ。真美に電話してその話をしたら、優里ちゃん今日副医院長に呼び出されたらしい。なんかヤバくない?」
  そんなのヤバいに決まってる。
 俺が優里を追い出さないから、親父は彼女を呼び出したのだろう。
「副医院長室に行ってくる」
 笠松にそれだけ言って医局を出ると、エレベーターに乗って六階の副医院長室へ――。
 
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