女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 ノックもせずに部屋に入ると、親父は椅子に座って誰かに電話をかけていた。
 俺に気づいて電話をすぐに電話を終わらせると、スマホをデスクの上に置き、手を組んだ。
「ノックぐらいしたらどうだ?」
「すみません。急いでいたもので。優里になにを言ったんです? ここに呼んだでしょう?」
「優………ああ、あの卑しい娘か。お前をそそのかしてここの院長夫人になろうと企んでいる」
 親父の言葉に、皮肉で返した。
「大した妄想ですね。優里はそんな女じゃありません。精神科への入院をお勧めしますよ」
 怒りを感じても、ブチ切れてはいけない。
 親父にはちゃんとわからせる必要がある。
「なんの冗談だ?」
 俺の言葉に憤慨して親父がギロッと睨んでくるが、平然と答えた。
「冗談じゃありません。本気で言ったんですよ。それで、優里になんて言ったんですか?」
「今日中にお前の家から出ていけと言ったよ。それに、今日で首だともね」
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