女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 実際、アメリカではそうだった。家と勤務先の病院の往復。病院に寝泊まりすることなんてざらだったが、女に付きまとわれることに比べれば、苦ではなかった。
 日本にいた時は身内もそれ以外の女も俺にしつこく絡んできて、辟易していた。
 目の前にいるこの優里も例外ではない。
 俺に一目惚れしたとか言って、うちの実家に住んでいた時はべったりくっついてきて、どんなに素っ気なくしてもニコニコ笑って俺のそばにいようとした。
「惜しい。九十パーセント玲人くんで、残りの十パーセントはどうしたら玲人くんと結婚できるかなって」
 俺の返答を聞いて、彼女は無邪気に笑ってみせる。
「百パーセント俺のことじゃないか。俺は結婚なんかしないから諦めるんだね」
 お前を好きになることはないと暗に伝えたのだが、彼女は俺の目を真っ直ぐに見て言い返す。
「でもね、人生なにが起きるかわからないじゃない? だから、頑張るよ」
 このポジティブな考えには俺も脱帽する。
「なにを頑張るんだか。もう病人は早く寝ろ」
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