こんなはずではなかったのだが…… ― 女嫌いな天才脳外科医は真実の愛に目覚める
3,居ても立っても居られなくて ― 玲人side
「玲人くんなら脳なんて見なくても私の思考くらいわかるでしょう?」
優里に聞かれ間髪入れずに答える。
「百パーセント俺のこと考えてる」
 考えるまでもない。こいつとは中学生の時からの付き合いだ。
 身内同然だったので、性格は熟知している。
 嘘はつけず、真っ直ぐで、あっけらかんとしていて、明るい。
 ポジティブな性格で、小さい頃に両親を亡くしているせいか、決して人に弱味は見せない。
 かくいう俺は四条玲人、三十二歳。身長は一八二センチ。髪はダークブラウンの短髪。彫りの深い顔立ちをしているせいか、日本にいるとよくハーフと間違えられる。先月までアメリカの病院にいたが、父にそろそろ帰国するよう言われ、今は実家が経営している四条総合病院に脳神経外科医として勤務。月に数度うちの病院の系列の診療所にも顔を出している。
 結婚はしていないし、特定の恋人もいない。
 基本的に女は嫌いなので、一生独身でいるつもりだ。
 ひとりでいる方が静かに暮らせる。
 
< 44 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop