女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
私も人の命に関わる仕事だと思えばいいんだ。
 黙々と仕事をしていたら、カツンカツンと靴音が聞こえた。
「あれ〜、まだ木村ちゃん仕事してたの?」
 へべれけ状態の部長が現れ、思わず苦笑いする。
『木村ちゃん』て……部長相当飲みましたね。
「はい。まだ仕事が終わらなくて。すみません」
「もう終電ないんじゃない? 深夜だとタクシーも捕まりにくいし、俺の家に来る?」
 酔っ払いの戯言、本気にしてはいけない。
「なにか忘れ物ですか?」
 部長の発言はスルーしてオフィスに戻ってきた目的を尋ねると、部長がよろよろしながら私の席の方にやってきた。
「ああ。スマホ忘れちゃってさあ。ないと不便だから」
「そうですね。気をつけて帰ってください」
 早く仕事をしたくて話を終わらせようとするも、彼はしつこく絡んでくる。
「木村ちゃん、優しいね。うちの連中は俺が英語苦手だからってみんな馬鹿にするんだ」
 おもしろくなさそうに不満を口にする部長に少し同情し、励ましの言葉を口にする。

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