こんなはずではなかったのだが…… ― 女嫌いな天才脳外科医は真実の愛に目覚める
6,玲人くんご乱心⁉
「もう病院行ったよね?」
朝起きてすぐに玲人くんの姿を探したけれど、どこにもいなかった。
時刻は午前八時半過ぎ。
玲人くん、寝坊しなかったかな?
キッチンに行くと、ダイニングテーブルの上にメモが置かれていた。
【今日はゆっくりしていればいい。会社にはもう行かなくていいから。優里からは連絡も一切するな】
 玲人くんに迷惑をかけてばかりだ。自立したつもりでいたけど、私ってまだまだ子供なのかもしれない。
 焦りすぎて仕事も住まいもトラブって玲人くんのお世話になってる。もっとしっかりしないと。
 大丈夫。部長がここまで来ることはない。このマンションは安全だ。
 私の手首の痣だってそのうち消える。まずは朝ごはんをしっかり食べよう。
 冷凍のパンをオーブンで焼き、今日はコーンスープをレンジで温める。
 とりあえず食べるけれど、やはり疲労や昨日のショックのせいか食欲があまりない。
 無理矢理胃に入れて薬を飲むと、リビングの方でスマホのバイブ音がする。気になってリビングに行くと、ソファの横に置いてあった私のバッグから音がした。
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