復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 ネックレスを、ルルの細い首にかけたとき、なにかを繋ぎ留めた気がしてうれしかった。

 今だって、ルルに会いたい。

 明るい笑顔が見たい。

 手を繋いで抱き寄せて――。

 ほかの男には、決して握らせるものかと、怒りにも似た気持ちが湧いてくる。

(そうか……。これが嫉妬)

 喧騒冷めやらぬ街の明かりに目を落とし、アレクサンドは思った。

(恋か?)

 だがディートリヒの話が本当だったら。

 ルイーズが生きていて宮殿にいるとしたら、どうする?



(俺はどうしたらいい……)

< 97 / 202 >

この作品をシェア

pagetop