嘘つき令嬢は多情な侯爵様に、真実の愛を囁きたい

2話

初めて忍び込んだ舞踏会は想像した以上に華やかで、多くの人で賑わっている。
当初こそその雰囲気を楽しんでいたセイラだったが
何やら人混みに酔ってしまう。
友人ルイーゼに断りを入れ、取り急ぎ夜風に当たろうと庭園へと足を向ける。
ベンチに腰を下ろしていると、酒に酔った男性がセイラの元に近づくと馴れ馴れしくも手を握ってくる。
恐怖に怯えていると、美麗な紳士が現れて、男をあっさり撃退する。
お礼の挨拶もままならぬまま、紳士はどこかへ去っていく。その颯爽とした一連の所作はまるで祖母の蔵書のロマンス小説のヒーローの様。
すっかり心を奪われたセイラは固く決意表明する。

「あの方に、私の最初で最後の恋を捧げるわ」


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