溺愛社長の2度目の恋
「そういや近々、現地に行くって言っていたから、奴に会うついでに現地確認に行こうか」

「いいんですか?」

「いいよ」

有史さんが頷いてくれる。
これでこの件は安心、かな?
オーナーさんについては心配だけれど。

ついでに他の仕事の打ち合わせもする。

「あのー、本当にこれだけでいいんですか……?」

今、私が任されている仕事は、驚くほど少ない。
もし、入社したばかりだからという配慮なら、不要だ。

「え、これだけって?」

さも意外そうに、有史さんが眼鏡の向こうで何度か瞬きをした。

「今、
少し立て込んでてて、ちょっと多かったかなって思ってたくらいなんだけど?」

「は?」

今度は私が彼の顔をまじまじと見て、瞬きをする番だった。

「もしかして通常だと、仕事量はもっと少ない……?」

うんうんと有史さんが頷く。

「反対に聞くけど、夏音は今までどれくらい仕事をしていたんだい?」

「ええっと……」

私が指折り数えて辞めた月の仕事量を話すと、有史さんはこれ以上ないほど目を大きく開いたあと、あり得ないとでもいうふうに頭を振った。

「それ、就業時間内に終わるのかい?」

「まさか!
残業は規定時間を超えると怒られるのでギリギリまでして、あとは始発出勤していましたが。
休みの日は持ち帰って仕事ですね」
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