溺愛社長の2度目の恋
第4話 女は子供を産む道具じゃない
始まった結婚生活は慣れないけれど、仕事は一週間も経てば通常運転になる。

「天使……天国……」

週明け、私はもらった資料を手に唸っていた。

「それだとゴシックアンティークなイメージだけど、オーナーさんが目指してるのはちょっと違う気がするんだよね……」

まだ鬱蒼とした森の現地写真と、オーナーさんの要望を書き連ねた紙を見比べる。
どうも、上手くイメージできない。
ちょっと有史さんに相談、かな。

ちょうど有史さんは在社していた。
社長室のドアをノックするとすぐに私に気づく。

「どうぞ」

しかもわざわざ、開けてくれた。

「あの。
cadeau de Dieu(カド・ドゥ・ディユ)さんの件なんですけど……」

「ああ。
天使と天国、だっけ?
抽象的すぎてわけわかんないよね」

それに素直に頷いていいのかわからず、曖昧に笑う。

「アイツ、いつもそうなんだ。
なんか高級な感じで、ドーン!
……とかさ」

有史さんは笑っているが、笑うしかできないのだろう。
私もそんな依頼をもらっても、困る。

「だから今回はいつもよりはマシなんだけど。
それでも難しいよね」

それには同意だと、うんうんと勢いよく頷いた。

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