溺愛社長の2度目の恋
……と、私の手を両手で握り、大興奮で迫られたときはどうしようかと思ったけれど。
ちなみに彼はこんなしゃべりだが、クライアントとの面談のときはきっちり敬語だから問題はない。

「あー、そうか。
ここに開口部があると、明るくなるっすね。
勉強になりました!」

「ううん、こちらこそ」

磯田くんは本当に勉強熱心で、彼と話していると私も気づきがたくさんあるし、もっと努力しなきゃって気持ちになれた。

家に帰り、今日も有史さんが食事を作ってくれる。
私も着替えを済ませ、さりげなくその隣に立った。

「なにしたらいいですか?」

「じゃあ、エビの皮を剥いてくれるかい?」

「わかりました」

一緒に帰った日は、彼の料理の手伝いをするのが当たり前になっていた。

「じゃあ、僕は深里のところへ行ってくるね」

「いってらっしゃーい」

小さく手を振り、お膳を運ぶ有史さんを見送る。
姿が見えなくなって小さくため息をついた。
有史さんにとって深里さんが最優先。
わかっているけれど、たまにはできあがったばかりの料理を一緒に食べたい……なんて私が願うのは、おこがましいのだ。

少しして戻ってきた彼と一緒に食事を始める。

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