自己刑罰

 里美が、私の手を引き剥がして、叫んでいた。

「克己!」
 だっけ。

「救急車!」
 だっけ。



 もうはっきりと分からなかった。

ああ、そうだ。
サイレンが鳴って…。
そしてもう…。






 私は下腹部の激痛と共に、訳の分からない声を出していた。地獄の底からの呻き声のような叫びを。




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