誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
俺の事が嫌になったのなら、まず夜食はあり得ない。

そう思い、震える手で手紙の封を切る。


手紙には…

俺の実家の事を知ってしまった事。
許嫁がいると聞かされた事。
俺の母親が入院していると言う事、が書かれていた。

そして何度もごめんなさいとありがとうの文字が並び…貴方には戻るべき場所があると、このまま知らない顔をして、一緒にいる事は出来ないと綴られていた。


なぜ、あの時俺は気付かなかったのか…

なぜ、彼女を独りで悩ませてしまったのか…
今となっては悔やんでも悔やみきれない。

手紙の最後には
『蓮さんと過ごした日々は決して忘れる事の無い幸せな思い出です。
私の事は忘れて、どうか幸せになって下さい。』
と、綴られていた…忘れられる訳がない。

彼女に会ってちゃんと話がしたい。
まだ、希望は捨てられないでいる。

伝えられ無かった事、伝えたかった事、伝わらなかった事…このままでは俺自身何も終わらない、願わくば終わりたく無いから、前に進むしかない。

彼女が居ない眠れない日々が続き、
虚無なモノトーンの世界の中でなんとか生きている状態だ。

あれから1週間。

自分自身の不甲斐無さに怒りさえ覚え、彼女に申し訳なかったと反省の日々を送った。

それでも、一つずつ解決しようと彼女の残した手紙を頼りに動き出す。

まず、誰が彼女に近付き俺の実家の事を話したのか。

それは、直ぐに判明する。
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