才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
延長練習

「相馬くん、お願いがあるんだけど」


紗英が声をかけた。


「何?」


「フォームのアドバイスが欲しいの、私、新人戦の日、調子悪くて……」



そういえば、顧問の先生に名指しで注意されてたな。



「まあ少しなら、延長申請を出してくれたらいいよ」



「うん、出しておくね」


「紗英先輩、ずるいです、愛菜先輩がいないと思って抜け駆けしちゃって、私も残りたいです」



「えー」



「ほら、二人になろうとしてるじゃないですかー」



「私はちゃんと相馬くんにお願いしたんだから美鈴(みすず)も自分で頼めば?でも美鈴は県大会にでないでしょ?今じゃなくてもよくない?」



一年生の美鈴という女子部員はいつも一年生に指導してくれている理久斗が好きだ。



愛菜と付き合ってると知った時はショックだったけど、別れるかもしれないじゃんとまだ諦めていないのだ。



「延長?紗英が?」



凛華が部室の鍵を返しに行こうかと言うと紗英が残るから鍵閉めとくって言ったのだ。


「せんぱーい、美鈴も残りたいって帰ってきてませーん」



一年生からも報告があった。



「紗英はまだわかるけど、美鈴は何で?」


「言っていいのかな?」


「いいんじゃない?」



「相馬先輩に教えてもらうって喜んでました」



「はぁ!?」



愛菜が休みなのを利用したの?


美鈴が相馬くんを好きなのはなんとなくは知ってたけど、行動に出たのね。

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