ファーレンハイト/Fahrenheit
#03 ルームミラーの目線
十一月十日 午前三時六分
松永敬志は、優衣香の部屋の玄関扉が閉じる様を見ていた。
鍵を締める音がして、チェーンロックが掛かる。敬志はその音を聞き、マンションの廊下を歩き出した。だらしなく頬を緩ませている敬志は、エレベーターホールに差し掛かる前に、黒いキャップを目深に被った。
そこには、さっきまで浮かべていた笑みは、もう無い。
不愉快そうに口角を少し下げた表情をした敬志は、その外見に見合った目付きの男になっている。
敬志はエレベーターには乗らず、その手前にある非常階段を降りて行く。一階まで降り、外に繋がるドアを開けようとドアノブに手をかけた瞬間、人の声がした。その場に留まる敬志の目つきが鋭くなる。
やがてその声は聞こえなくなり、敬志は外へ出た。
松永敬志は、優衣香の部屋の玄関扉が閉じる様を見ていた。
鍵を締める音がして、チェーンロックが掛かる。敬志はその音を聞き、マンションの廊下を歩き出した。だらしなく頬を緩ませている敬志は、エレベーターホールに差し掛かる前に、黒いキャップを目深に被った。
そこには、さっきまで浮かべていた笑みは、もう無い。
不愉快そうに口角を少し下げた表情をした敬志は、その外見に見合った目付きの男になっている。
敬志はエレベーターには乗らず、その手前にある非常階段を降りて行く。一階まで降り、外に繋がるドアを開けようとドアノブに手をかけた瞬間、人の声がした。その場に留まる敬志の目つきが鋭くなる。
やがてその声は聞こえなくなり、敬志は外へ出た。